蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

シドニー・ルメット監督の「Q&A」を見て

kawaiimuku2012-10-27


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.334


新米地方検事補のティモシー・ハットンの悪戦苦闘物語でがす。

悪役の上司のみならずその上司に使役されている悪辣なブルドック警官ニック・ノルティや同僚、恋人と恋仇に振り回され、挙句に応援を約束していた検察の上層部にまで裏切られて身も世も恨むという可哀想なお話です。タイトルの「Q&A」は検察の尋問調書のことだという。

それにしてもニック・ノルティの存在感は圧倒的。善人役をやるとあれほど可愛らしいのに、ここでは物凄い汚れ役の悪党ぶりを見せつける。

社会派のルメットとしてさんざん痛めつけられたハットン選手の捲土重来を期しての続編を考えていたと思われるが、その夢はついに叶わなかったようだ。

脳内にざわめく嵐御しかねてお父さん大嫌いと喚きだしおり 蝶人