蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

文化学園服飾博物館で「世界の絣」展を見て

茫洋物見遊山記第71回&ふぁっちょん幻論第66回

絣って日本だけのものかと思っていたらとんでもない、どうもインドが原産らしいんだけどアジアを中心にカンボジア、タイ、ラオス、ベトナム、ビルマ(ここで「ミャンマー」などと読み書きする人は軍事政権の支持者だぞ)、中国、インドネシア、ナイジェリア、ウズベキスタン、シリア、ヨルダン、モロッコ、フランス、アメリカ、グアテマラなど世界各国、各地で行われてきた染織方法だったんですね。

なんでも博物館資料によれば、文様にしたがってあらかじめ糸を染めわけたあとに織り上げるもので、経糸に染めを施す経絣(たてがすり)、緯糸に施す緯絣(よこかすり)、経緯両方向に施す経緯絣(たてよこかすり)の3種があるそうです。

会場には23カ国から集められた120点の絣がずらりと並んでいましたが、同じアジア諸国の製品に比べても、国産品はどこか淡白で繊細で弱弱しく感じられましたが、やはりテキスタイルにもそういう国民性が象徴され刻印されてきたのでしょうか。

なーんて下らないことをぼんやり思惟しながら、これは経絣、これは緯絣と目で確かめ、タテタテ、ヨコヨコ、タテヨコ、タテヨコと呟きながら歩いていたら、自分が横歩きするカニさんのように思えてきました。

タテタテ、ヨコヨコ、タテヨコ、タテヨコ 世界の絣の素晴らしさ 蝶人


*「世界の絣」展は12月17日まで堂々開催中です。