蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

西暦2013年睦月蝶人狂歌三昧

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ある晴れた日に第120回 

 

 

君と僕エンドクレジットの音楽が途切れたときのように気まずい

 

美輪明宏をかなぐり捨てて歌いたり丸山明宏「ヨイトマケの唄

 

喜びも悲しみもこの曲に込めてさらばプリプリダイアモンドだお

 

雪が降るぞえチントレットなぞと呟きながら歩いている

 

あきれはてあなはずかしくあじきなしおんなとおとこのせいのむきだし

 

夢の中で安倍のゴーストライターを頼まれしわれ頑なに辞して名古屋に帰る

 

世の人みな右を歩くので真ん中のひとが左側となる

 

「お前なんてたいしたことない、たいしたことないぞ」と言い続けながら人生を終えるんだ。

 

世界なんてバッバッと変わる 変わらないのはお前だけ 

 

論争も折伏も無意味だ。人の思想は論理では変わらず、なにかもっと別のもので変わる。

 

美しきヴイーンの初夏に鳴り響く「大地の歌」は“お母さんの唄”

 

市長すら体罰容認の町なれば生徒を殺す教師も出るべし

 

五輪とは自国再生の道具にあらず世界平和の祭りなり

 

いずこにても名人はとく死に絶えチャラチャラ行き来すしゃらくさい小者

 

ああいくいくいくうこれがいちばんいいのよなぞとおめきつつ昇天したり

 

民主か独裁か、正義か悪かはいざ知らね、勝てばしばらくは官軍である

 

あらくれの三浦一族屠腹せし頼朝公園子ら駆けまわる

 

美人のケイコチャンがおしっこやウンチをした便器がお庭に捨てられている

 

絶望せよ もっと絶望せよ 我々にはまだ絶望が足りない

 

半年振りに仕事の依頼がありました捨てる神あれば拾う神あり

 

カニ座より我に飛び来る星ひとつ願いもできず消え去りにけり

 

平成のゴジラが突如現れて悪者どもをみな踏み潰すらむ

 

恐山のイタコが下せし御託宣君うかうかと真に受けるなかれ

 

愛国無罪」を叫んでいるうちに国も個人も滅んでゆくなり 

 

世の中も政治も文学も下らない下るのはわがはらのみ

 

職は無く金無く友無く望み無き若者たちに冬は来にけり

 

それではここで問題です 我が家で次に死ぬのは誰でしょう?

 

 

粛々と生き急ぐなり去年今年

 

またしても賀状を拒む家となる

 

〆縄を飾れぬ家の多さかな

 

元旦や野心なき男となりにけり

 

フイヤン派の独裁迫る冬の月

 

革命にも山あり谷あり嵐あり

 

大寒のやや暖かくぱみゅぱみゅぱ

 

おらっちは人日なれど汁粉喰ふ

 

天邪鬼人日なれど汁粉喰ふ

 

世界など犬に喰われよ歯が痛い

 

新月や島の渚を照らしけり

 

雪が降るチントレットといいながら歩いてる

 

 

 

滑川で翡翠に出会いしことをもて今日最大の喜びとなさむ 蝶人