蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

リチャード・マーカンド監督の「白と黒のナイフ」を見て

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.534

 

 

「危険な情事」の頃はこの女優大丈夫かいなと前途多難を思わせたが、テレビドラマ「ダメージ」で見せた老練弁護士の演技はじつに見事であった。

 

そのグレン・クローズがこの映画でも弁護士役を演じて出版社社長役のジェフ・ブリッジを強力に弁護して勝利するのであるが、それが果たして良かったのか悪かったのか。

 

海千山千の超ヴェテランも所詮はおんな。色男にころりと騙されて冷徹なロウ・ビジネスに徹することができませんでしたという昔からよくある通俗物に堕してしまったね。

 

それにしても女が男に惚れるスピードが早すぎ、犯人がどういうわけでぎざぎざナイフを使った猟奇犯罪にこだわるのかがまったく説明されないのはよろしくない。この映画に限らずアメリカの法廷で弁護士や検事や裁判官が行っている金銭まみれのボス交はけったくそが悪くおぞましい限りである。

 

残念だが君たちとは全然考え方が違うと言い放ちて一人帰りきぬ 蝶人