蝶人戯画録

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ティム・バートン監督の「エド・ウッド」を観て

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.544

 

資金、納期、スタッフ、どれをとっても最悪の環境の中でそれでもなんとかハチャメチャの作品を撮りおおせていく三文映画監督の生涯を面白おかしく描いて観衆を楽しませてくれる映画だ。

 

全篇フィクションかと思っていたら「エル・ウッド」はなんと実在の映画監督だったので驚いた。麻薬中毒で死んでしまう往年の名フランケンシュタイン役者(マーティン・ランドー)との生涯に亘る交友はいたく泣かせるし、速攻で量産される映画は常識的にはパルプフィクションなのだろうが、見方によっては超個性的なげいじゅつ映画とも受け取れる。

 

映画と女装を愛するそんな伝説の「アメリカ史上最低の映画監督」を偏愛するティム・バートンの複雑に入り組んだ映画への偏愛を「亡霊のように顔の無い」ジョニー・ディップがそれなりに好演している。

 

 

通りすがりに子供の頭をポンと叩くポンタのおじさんいずこへ行きしか 蝶人