蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

キング・ヴィダー監督の「戦争と平和」をみて

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bowyow cine-archives vol.712

 

 ハリウッドがトルストイを映画にするとこうなるという見本のような大スター主義の娯楽映画です。

 

 そこでは戦争も平和も歴史も国家も人間の実在の手ごたえもあらかた消しとんで、最後はオードリー・ヘプバーンヘンリー・フォンダとメル・ファーラーとの恋愛沙汰だけが残る。

 

 その証拠にヘプバーンとファーラーはこの映画が縁で結婚したのではなかったか。

 

 監督が凡庸なせいか、3人ともあまり心に残る演技はできていない。

 

 記憶に残るのはこの映画の4年後にフェリーニの「甘い生活」で妖艶な肉体美を見せたアニタ・エクバーグ。されどその27年後に「インテルビスタ」に登場した彼女はまるでトドのような浅ましい姿と変わり果てていた。

 

 んな訳ですから、私は醜いまでに太った人間は嫌いだ。

 

 

  太るのは自己抑制が効かないでおのれが豚豚になることを許すから 蝶人