蝶人戯画録

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鎌倉文学館で「源氏物語展」をみる

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茫洋物見遊山記第183回&鎌倉ちょっと不思議な物語第345回

 

 

 初夏のバラの見ごろは終わってしまいましたが、長谷の鎌倉文学館では来る7月5日まで「スーパーストーリ源氏物語特別展」が開催されています。

 

 鎌倉と源氏物語なんてあんまり関係がないのではないかと勝手に考えていたのですが、とんでもない。源氏物語の原本のひとつである「河内本」はここ鎌倉で編まれたそうです。

 

 源氏物語の代表的な写本には、いずれも平安時代末期から鎌倉時代のはじめにかけて編まれた藤原定家の「青表紙本」と源光行・親行親子(2人とも河内守だった)の「河内本」の2種類が存在していて、どちらもそれぞれの特色を備えているそうですが、鎌倉時代までは「河内本」が圧倒的に優勢だったそうです。

 

 会場には与謝野晶子の原稿などが並べられていましたが、鎌倉在住の川端康成がどうして彼の翻訳を遺してくれなかったのかと惜しまれてなりません。

 

 幸い2017年からは若手の角田光代選手の渾身の新訳が登場するそうですから、いまから楽しみなことです。

 

 

 賛成はしないが反対もしなかった人々が巻き込まれてゆく戦争 蝶人