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蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

クリント・イーストウッドの映画3本立

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闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.848、849、850

 

クリント・イーストウッド主演・監督の「荒野のストレンジャー」をみて

 

 1973年製作の奇妙な味わいの作品なり。さすらいの流れ者イーストウッドはいきなり寄って来た色女を強姦するが、「嫌よイヤヨも好きのうち」という彼の得意のマッチョ女性観が臆面もなく発揮されていてエグイ。

 

 悪漢から街を守るために得体のしれない腕ききを雇うという昔ながらのお話であるが、イーストウッドはその実現成就が幻想であることを知りながら町民の自主独立をうながし、それが画餅とついえた瞬間に正味のゲバルトを発揮して眼前の障壁を突破していく。

 

 

クリント・イーストウッド監督の「ホワイトハンター ブッラクハート」をみて

 

 イーストウッドが「アフリカの女王」の撮影をほっぽらかして「象撃ち」に夢中になるジョン・ヒューストンを成り切りで演じている。

 

 この映画では象のような神聖な創造物を撃ち殺すなんて許すべからざる犯罪だという天からのお告げが舞い降りて銃を置いてメガフォンを取るところで終わっているが、さて実際はどうだったんだろうな。

 

 注目すべきは音楽。日本では文部省唱歌「故郷の廃家」(幾年ふるさと来てみれば)として知られるアメリカ人ウイリアム・ヘイス作曲の「My dear old sunny home」を主題歌にしていることで、しかもそれをアフリカ民謡風に編曲しているという念の入れ方は自分で作曲もするイーストウッドならではなり。

 

 

クリント・イーストウッド監督の「ミスティック・リバー」をみて

 

 面倒くさいので概要をウイキから引用すると「1つの殺人事件を通して四半世紀振りに再会した、幼馴染の3人の男性の運命を描く。それぞれに交錯する嘘や疑いが、事件を思わぬ方向へと発展させてしまう」映画であるが、その3人のケビン・ベーコン、ショーン・ペーン、テイム・ロビンスのうち真ん中の男の禍々しい存在感が際立つ。

 

 とりわけ誤解と短慮によって友人を死に至らしめるシーンの凄絶さは言語に絶するものがあり、こういう演出ができる監督の力量は素晴らしい。

 

 幼い日の友情は、道端のマンホールに吸い込まれて消え去ったホッケーのボールのように儚く暗転するのである。

 

 

   シンクロに一番いいのはカラヤンと井村コーチは断言したり 蝶人