蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

西暦2015年霜月蝶人花鳥風月狂歌三昧在庫処分編その8

f:id:kawaiimuku:20150820170718j:plain

 

ある晴れた日に 第350回

 

いかがわしまがまがしくもうざったしカボチャ祭りに浮かれる人々

 

その昔「中の中」だと思っていたが流れ流れて下流老人

 

仕事無く蓄えは無く扶養者ありげにわれこそは下流老人

 

何を尋ねても「加齢、加齢」というげに医者とは楽な商売

 

お御籤で凶を引きたる人ありきもう一度引き給えと勧めてはみたものの

 

今日もまた指をくわえて眺めている隣の柿が熟して腐ってゆくのを

 

日米の安保のごとく並び立つ薄とセイタカアワダチソウ

 

わが家でも猫を一匹飼っている私の背中で丸くなるネコ

 

土曜日の朝一番の散髪屋息子と並びて髪を切られる

 

おでこには点検シールを二枚張られすべての車は黙して走る

 

八割がた雲が空を覆っていても晴れなんだって そんな話初めて聞いたな

 

土日なく働き続ける皆さんに熱き連帯の挨拶を送ります

 

日日日」上から三つ重ねて「たそがれ」と呼ぶげに日本語は玄妙なるかな

 

ことごとく毬栗落ちし林かな

 

暫くは蜻蛉の群れに混ざりけり

 

彼岸花イデオロギーには毒がある

 

秋闌けて憲法九条断末魔

 

気違ひが出刃包丁を持つ九月哉

 

なるほどね日豪トンガニュージーランド合体したのがジャパン・ウェイか

 

洗濯機の指定は9だけどおそらくカップに6でいいのだろう

 

ゆるゆると朝夷奈峠を登りゆけば待ち構えおりし雀蜂の群れ

 

法案が叩き潰したパンドラの箱に残りしはつかな希望

 

なにゆえに亡き父親に贈らなかった息子が呉れし祝いのセーター

 

 

 淫行という言葉の妖しさよ生涯に一度くらいは淫行したし 蝶人