蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

2007-04-03から1日間の記事一覧

中原中也と小林秀雄

鎌倉ちょっと不思議な物語51回晩春の夕方、中原中也と小林秀雄は石に腰掛け、海棠の散るのを黙って見ていた。花びらは死んだような空気の中をまっすぐに間断なく落ちていた。花びらの運動は果てしなく、小林は急に嫌な気持ちになってきた。我慢ができなくな…