蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

2009-03-04から1日間の記事一覧

橋本征子著・詩集「夏の呪文」(1993年刊)を読んで

照る日曇る日第235回詩人が「あたしは」と呪文のようにつぶやくとき、地軸は停止し、世界は沈黙し、失われた遠い日の思い出が一挙に蘇る。―とつぜん春になったので、ビルの最上階の歯科医院は歯槽膿漏の患者であふれ、エーテルの匂いのする若い歯科医はう…