蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

2010-11-11から1日間の記事一覧

雑賀恵子著「快楽の効用」を読みながら

照る日曇る日 第384回私の郷里の旧家の冬の朝餉はいつも芋粥で、七人の家族全員が長幼の順で鍋底に杓文字を突っ込んで米に溶解したとろとろの芋を飢えた獣のように奪い合うのだった。おやつなどはなく、毎日与えられるアルミ貨の一円を原資に駄菓子屋で壱…