2007-03-24 母上を偲ぶ歌 ♪ある晴れた日に(3) 天ざかる鄙の里にて侘びし人 八十路を過ぎてひとり逝きたり日曜は聖なる神をほめ誉えん 母は高音我等は低音教会の日曜の朝の奏楽の 前奏無(な)みして歌い給えり陽炎のひかりあまねき洗面台 声を殺さず泣かれし朝あり千両万両億両すべて植木に咲かせしが 金持ちになれんと笑い給いき白魚の如(ごと)美しき指なりき その白魚をついに握らずそのかみのいまわの夜の苦しさに引きちぎられし髪の黒さようつ伏せに倒れ伏したる母君の右手にありし黄楊の櫛かな