蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

石原慎太郎かく語りき


あなたと私のアホリズム その15 

慎太郎妄言録
その1
「文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババア。男は80,90でも生殖能力があるけれど、女は閉経してしまったら子供を生む力はない。そんな人間が、きんさん、ぎんさんの年まで生きるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害」(週刊女性2001年11月6日号)
 こんなジュラ・白亜紀の遺物のようなアナクロおやじなのに、朝日や共同の調査では石原のほうが女性に浸透しているらしい。ナゼなんだ!! ひょっとして女性たちはこの妄言を忘却しているのではないか。「お年寄り」は弊害ではなく、社会の宝物だ。これを思い出せば、あの櫻井よし子だって石原支持とはよもや言いますまい。

その2
(重度の障害者について)「ああいう人ってのは人格あるのかね。」(朝日新聞朝刊1999年9月18日)

 他ならぬ障碍者を長男に持つ私にとってこれは絶対に許せない発言です。どんな障碍者だって少なくともあなたより優れた人格を所有していると断言できます。

その3
「俺はナマコとオカマは大嫌い」

 おすぎとピーコが聞いたらなんと言って怒ることか。それに第一ナマコに対しても失礼です。やたらまばたきするあなたの尊大顔こそナマコ以下の醜悪さでは?

その4
「前頭葉の退化した六十、七十の老人に政治を任せる時代は終わったのじゃないか?」

32年前の1975年、当時72歳の美濃部都知事にこう言ったご当人はいまなんと74歳。天に唾する者はなんとやら、です。

その5
「東京では不法入国した多くの三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している。大きな災害が起きた時には、騒じょう事件すら想定される」(毎日新聞」夕刊2000年4月10日)

第三国人差別用語なんですか。その訳をきかせてもらいたい。辞書にはっきり出ていますな」(サンケイ新聞朝刊2000年4月13日)
 
 第三国人とは、第二次大戦前および大戦中、日本の統治下にあった諸国の国民のうち、日本国内に居住した人々の俗称で、敗戦後の一時期、主として台湾出身の中国人や、朝鮮人をさしていった言葉であることは事実。しかしこの言葉が、彼らを貶める差別用語であることは、いやしくも言葉の専門家であるベテラン現役作家のあなたならよーくご存知のはず。

その6
「北京五輪は1936年のヒトラーのベルリン五輪同様」

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い? いったいどこが同様なの? あなたの頭の中はどうなってるの?

その7
「フランス語は数を勘定できない言葉だから、国際語として失格しているもの、むべなるかなという気がする」(毎日新聞朝刊2004年10月20日)

明確でないものはフランス語ではない。とフランスの知識人は自国の言語を格別誇りに思っている。数字を勘定できないのにガロワはどうしてフランスの天才数学者になれたの?
おふらんすの学者たちは、あなたのことを軽蔑し、激しく怒っておるぞ。

 ああ、どこまで続くか慎太郎妄言録……

まあそんなこんなで、来る3月30日(金)夕刻、新宿西口に怒れる女性たちが総決起して、「ババア発言知事NO! 女性行動」を開催するそうです。