蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ぐあんばれ野茂!


♪バガテルop33

長い長い蹉跌と雌伏と忘却の時期を経て、われらがヒーロー野茂英雄が大リーグのマウンドにまもなく帰ってくる。

1月4日の彼のホームページによれば、彼はカンザスシティ・ロイヤルズマイナー契約を交わし、3年ぶりにメジャーリーグに返り咲く大きなチャンスをつかんだ。

ロイヤルズといえば昨年日本ハムを2年連続でパリーグ優勝チームに導いた有能なヒルマン監督が大リーグで初めて采配を執るチームである。万年最下位ではあるが、もう上を見上げるしかない絶望的希望のチームだ。思う存分腕を振るえるに違いない。

野茂は06年6月に右ひじを手術し、07年にはかの偉大なる文学王ガルシア・マルケスゆかりのベネズエラのチームに入団し、成績は悪かったが、黙々とトレーニングに励んでいた。最初のチャレンジャー野茂が、最後にメジャーで勝ち星を挙げたのはデビルレイズ時代の05年6月27日の対ブルージェイズ戦だが、あの火の玉竜巻投球で大リーガーをきりきり舞いさせた野茂のことだ。体調さえ良ければまだまだやってくれるだろう。

昨日の夕刊によれば同じ39歳の桑田真澄投手もパイレーツと正式にマイナー契約を交わしたそうだ。ロッテのエース黒木は去ったが、私の大好きな大洋ホエールズの斉藤もドジャースのリリーフエースとして健在だ。(岡島よりこっちの活躍のほうが凄かった!)

そして私は、松坂や両松井、イチロー、福留、黒田などの旬の選手よりも、一度、二度、そして三度と一敗地にまみれた超ベテラン選手たちが、一球入魂、今生の思い出のように死力を尽くして投げ込むその雄姿と、かなうものならその泥だらけの頬に光る一掬の涙を見たいのである。


闘争を紛争、敗戦を終戦と言い換える人が嫌いだ 亡羊