蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

神社と力士


鎌倉ちょっと不思議な物語121回 十二所神社物語その6

「十二所地誌新稿」によれば、むかし葉山の森戸神社の祭りに呼ばれた力士が、ついでにわが十二所神社にやってきて相撲を取ったそうだ。

そのとき、力士の一人がひよいと手を伸ばしたら稲荷小路十二所神社から相当離れた一角)まで届いたという伝説がある。まあそれはまゆつばであるとしても、大正時代には子供たちが境内で相撲に興じていたというから、神社と相撲は浅からぬ縁で結ばれていたとみえる。

その証拠に、十二所神社の境内には、百貫石と呼ばれる重さ28貫(112キロ)の卵石があり、それを担ぐのを村の青年たちが自慢したそうだ。

地元の力持ちの伊藤源五郎さんは、なんと48歳まで担ぐことができたというが、軟弱な私などほんの1寸すら持ち上げることができない。


♪逆さに振っても歌湧いてこず 亡羊