蝶人戯画録

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照る日曇る日第192回

今日と明日の2日間限定で横浜桜木町・みなとみらいの住宅展示場で面白い展覧会が開かれている。積水、住友林業、三菱地所、ダイワハウスなど全部で17の展示棟のなかで、小山登美夫ギャラリー、児玉画廊、東京画廊、南天子画廊など東京の代表的なギャラリーがそれぞれの傘下の作家の作品を展示・即売しているのである。

伝統的なタイプからスエーデンハウスなどの2×4などモデルハウスの内装やしつらえも種々様々なのだが、それらのインテリアにうまく調和させた個性的な油彩、アクリル、水彩、オブジェ、ビデオ・インスタレーションなどの作品群が、リビングやキッチンやバスルームなどの思いがけないコーナーに展示してあるので、家つくりを研究しているひとも、ビジネスマンや学生の現代美術ファンも思い思いに楽しめる新機軸のイベントである。

私も半日かけてすべてのハウスと作品をじっくり眺めて、今帰宅したところだ。奈良美智や東芋など著名作家の作品も出品されていたが、私のお眼鏡に叶ったのは、三菱地所ホームに展示されていた佐々木健のランプやアンプやブルドッグのアクリル画で、それらがたった5万から15万で買えるとはいくら絵画バブルがはじけた直後とはいえあまりにも安すぎるのではないかと思ったことだった。

明日29日土曜日の午後2時と4時からは2つのトークセッションも予定されているようだ。


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玉縄城に登る

鎌倉ちょっと不思議な物語第157回

玉縄城は天然の要害の地である丘陵に空堀や土塁、曲輪などの防衛施設を備えた山城であった。

本丸址は現在の清泉女学院の校舎、校庭の位置にあたるが、昔日の面影はない。ただ清らかな婦女子の嬌声が秋空にこだましているばかり。かろうじて中世鎌倉の雰囲気を漂わせているのは広大な「七曲り」の谷戸、樹木に覆われた「ふわん坂」、高地にある陣地の「諏訪壇」のみである。

「七曲り」は、急坂でいくつにも折れ曲がっているのでこの名がある。玉縄城に上り詰めた両側は土塁となり、土塁の内側の平場(曲輪)で下から攻め上がる敵を攻撃し、城を防御できるようにしていたが、これは同時期の朝比奈峠でも同様である。

「ふわん坂」は急斜面の坂で、かつてはその両側に曲輪があり、登ってくる敵を弓で迎え撃った。

「諏訪壇」はかつて本丸の東側にあった長方形の土塁で、玉縄城の最高地にあって見張りの役を果たしてゐた。ここは城主の最後の避難場所でもあり、現在市役所のちかくに移転した諏訪神社が守護神として祭られていた。

♪七曲り曲輪より射るおおかぶら 茫洋