蝶人戯画録

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メンズ漫録その4 本邦初のパタンナー


ふあっちょん幻論第27回


1853年にペリーが来日すると、「毛唐柄」(唐桟(細番の綿糸で平織りにした縞織物、紺+浅黄、赤の羽織りや着物に使用)や「唐人仕立て」が流行するが、幕府は百姓・町人の異国風衣装を禁じた。しかし部分的には国防強化のため軍事訓練用に洋装、軍服を取り入れるようになる。

このときに活躍したのが初代裁断士の沼田守一で、彼は古着を解体し、足袋職人12人に羅紗、型紙を与えて洋服を製作した。彼こそは本邦初のパタンナー兼デザイナーというべき人物である。

ちなみに「洋服」という言葉は、1867年に発行された『方庵日記』に初出しており、ご一新以後一般にも使われるようになったそうだ。また福沢諭吉の著書『西洋衣食住』には、袴とズボン、帯とベルトなど着物と洋服の類似点や、彼独自の洋服着こなしノウハウが記述されているそうだが、私はまだ読んだことはない。



♪着物を裂き足袋職人が洋服に縫う沼田氏こそはヨウジの大先輩 茫洋