蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

続々 拝啓鎌倉市長殿


バガテルop103&鎌倉ちょっと不思議な物語第196回


 
「朝夷奈切通における自転車通行問題」について3度目の市長への手紙を書きました。最新の回答と要望書はずっと後ろのほうにあります。

○5月14日付要望

時下貴職ますますご健勝のこことお喜び申し上げます。

 さて小生は市内に居住する者です。毎日のように朝比奈峠から熊野神社、果樹園に至るハイキングコースを散歩しているのですが、最近よくマウンテンバイクに乗った人たちと出くわすようになりました。

 ただでさえ狭くてすれ違うことさえ難しい山道を、彼らは勢い良く「落下」してくるので危なくて仕方ありません。それでなくても高低差のある昔の「獣道」です。山道の上の方からそろそろ降りてこようとしても、自重でブレーキが利かないために「落下」状態になるのです。ケガこそしませんでしたが幾度となく「あわや」という危険に遭遇したのは小生だけではないでしょう。シルバーガイド協会の人たちもそんな危ない目に遭われているのではないでしょうか。

 そもそもここは徒歩専用のハイキングコースであり、自動車、オートバイ、自転車などは乗り入れ禁止のはずです。重大な事故を未然に防ぐためにも、この際、朝比奈切通しのみならず、「市内のすべての切通しとハイキングコースにおける2輪・4輪車の全面乗り入れ禁止」を周知徹底していただきたいと思います。

あまでうす茫洋敬白

○5月28日付回答

明るく住みよい鎌倉をつくるため、いつもあたたかいお力添えをいただき厚くお礼申し上げます。
 あまでうす様からお寄せいただきましたご要望につきまして、次のとおりお答えいたします。

 鎌倉市で紹介しているハイキングコースは、天園、葛原岡大仏、祇園山の3コースとなっております。いずれのコースにつきましても、車両乗り入れ禁止となっており、各ハイキングコースの入口に車両の乗り入れ禁止の表示をしております。ご指摘の箇所は、本市で紹介しているハイキングコースではありません。朝夷奈切通は、国の史跡に指定されており、現在4輪の乗り入れを規制しています。しかしながら、一部生活道路として利用されていることから、自転車の乗り入れは規制しておりませんが、横浜市側に「自転車・バイクの通行は止めて下さい」と標記された看板がありますので、今後は、鎌倉市側にも同様の立て看板を設置したいと考えております。
 切通のなかには、市街化が進み朝夷奈切通や亀ヶ谷坂、仮粧坂、巨福呂坂のように一般道(市道)となっているものがあります。周りには住宅地が広がり、生活道路の一部となっているものもあり、市内全ての切通を2輪及び4輪の乗り入れを禁止できる状況ではありませんので、ご理解をお願い申しあげます。

                平成21年 5月28日 鎌倉市長 石渡紱一


○6月5日付再要望

早速の回答ありがとうございました。朝夷奈切通に立て看板を設置して頂けるとのこと、大歓迎です。周辺の環境整備のためにおおいに役立つと思います。しかしながら今回頂戴したコメントのなかに一部理解・納得できない部分がありますので、再度質問と要望をさせていただきたいと存じます。

>鎌倉市で紹介しているハイキングコースは、天園、葛原岡大仏、祇園山の3コースとなっております。いずれのコースにつきましても、車両乗り入れ禁止となっており、各ハイキングコースの入口に車両の乗り入れ禁止の表示をしております。ご指摘の箇所は、本市で紹介しているハイキングコースではありません。

要望その1
市がどこのハイキングコースを外部に紹介されてもそれは結構なのですが、実際には年間2000万人を超える観光客のおよそ半分が「市内全域のハイキング可能路」や7つの切通をどんどん歩いています。それらの人々の安全と安心のために自転車の交通を禁止してほしいというのが私の提案の趣旨です。いっきに即時全面禁止が難しいとしても、できる箇所から段階的に禁止すべきではないでしょうか。

>朝夷奈切通は、国の史跡に指定されており、現在4輪の乗り入れを規制しています。しかしながら、一部生活道路として利用されていることから、自転車の乗り入れは規制しておりませんが、横浜市側に「自転車・バイクの通行は止めて下さい」と標記された看板がありますので、今後は、鎌倉市側にも同様の立て看板を設置したいと考えております。

要望その2
私は毎日のように朝夷奈切通を散歩していますが、「三郎の滝」から横浜市との峠境に至る朝夷奈切通は、もっぱら観光客のハイキングコースであり、現在「生活道路」としては使用されていません。観光客以外で通行する人は(私が知る限り)存在しません。
「三郎の滝」の右側の十二所果樹園に至る道は風致地区であるにもかかわらずいくつかの土建業者や建築家があいかわらず不法占拠してモノ置き場にしたり農作業を行ったり、モノを燃やしたり、歩行者を顧みない危険な車両運転を繰り返していますが、まさかこの状態を「生活道路」と表現されているのではないでしょうね。
私は十二所果樹園へ安全な歩行を阻害し、周辺の事前環境破壊している彼らは一日も退去し、この際この道を「生活道路」であるという認識を改めて頂くとともに、2輪・4輪の交通も禁止するべきであると考えます。

>切通のなかには、市街化が進み朝夷奈切通や亀ヶ谷坂、仮粧坂、巨福呂坂のように一般道(市道)となっているものがあります。周りには住宅地が広がり、生活道路の一部となっているものもあり、市内全ての切通を2輪及び4輪の乗り入れを禁止できる状況ではありませんので、ご理解をお願い申しあげます。

要望その3
もとより理解するのにやぶさかではありません。しかし実際にその実情はどうなっているのかご存知ですか? 2輪及び4輪が我が物顔に走り回り、私が前回の投書で述べたような危険がどの切通やハイキングコースでどれくらいあるのか。まずはその実態を歩行者、観光客の身になって調査、観察、把握するべきではないでしょうか。しかるのちに即時全面禁止が無理だとしても可及的速やかに禁止や制限措置をとるべきではないでしょうか。

これらの切通は昔は生活道路でしたが、現在では豊かな自然に恵まれた歴史遺産であり国の指定史跡になっている箇所もたくさんあります。確かに一部が生活道路になっているケースもありますが、それは市や貴職が一部の住民の開発を是認して、自然と環境の破壊に手を貸した結果でもあります。
いっぽうでは市街化や生活道路化に積極的に加担しておいて、他方では環境保全やユネスコの世界遺産指定をめざすという貴殿の政策に大きな矛盾を感じるのは私だけでしょうか。まずは地道な市民・観光客の足元の安全対策が肝要と考えます。

あまでうす茫洋敬白

○6月18日付回答

 あまでうす様からお寄せいただきましたご要望につきまして、次のとおりお答えいたします。

 鎌倉市で紹介しているハイキングコースは、天園、葛原岡大仏、祇園山の3コースとなっております。この3コースについては、車両乗り入れ禁止となっており、各ハイキングコースの入口に車両の乗り入れ禁止の表示をしております。
 また、上記のハイキングコースについては、定期的にパトロールしており、車両の乗り入れは確認されていませんが、パトロール中に車両の乗り入れがあった場合には、指導してまいります。
 次に、十二所果樹園に至る道は、市道(幅1.29〜2.42m)と私有地が混在し、その市道は、途中で終点になり、そこから果樹園までは、私道になります。したがって、市で通行の制限を行うことができません。
 切通につきましては、国指定史跡の6切通(朝夷奈切通、亀ヶ谷坂、巨福呂坂、仮粧坂、大仏切通、名越切通)の大部分は2輪・4輪の通行ができない状況ですが、前回ご説明させていただいた通り、切通のなかには市街化が進み、亀ヶ谷坂、仮粧坂、巨福呂坂のように一般道(市道)となっているものがあります。周りには住宅地が広がり、生活道となっているものですので、これらの切通全ての2輪・4輪の乗り入れを禁止できる状況ではありません。
 あまでうす様からいただきましたご要望につきましては、今後の市政の参考とさせていただきますので、ご理解のほどよろしくお願い申しあげます。

           平成21年6月18日  鎌倉市長   石渡徳一

○6月28日付要望

拝啓鎌倉市長どの

どうも回答が典型的な役人風でいまいち要領を得ませんね。朝夷奈切通に絞って再度質問いたします。

この切通では特に土日と休日に自転車が我が物顔に走り回るので歩行者が常に傷害の危険にさらされています。そこで私は
1)まずその実態について至急調査を行ったうえで、
2)(4輪とオートバイのみならず)自転車の運転を禁止してほしい

のです。

この措置はこの道が市道であろうが国県道であろうがけもの道であろうが可能なはずです。なぜならここは国が指定する歴史的景観保全地区であり、市が希望しているユネスコの世界遺産登録指定区域であって住民や観光客の歩行の安全を守る義務があるからです。


あまでうす茫洋敬白


♪わが腕を蟻が這う諦観とリリシズム捨てがたし 茫洋