蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第16回


bowyow megalomania theater vol.1

僕はS先生のおっしゃることはあんまりよく分かりませんでした。でも、僕が「自閉症」という名前の障碍者であるということはなんとか分かりました。

自閉症は、1943年にアメリカのカナーという学者によってはじめて報告された障碍で、新生児100人におよそ1人の割合で発症すると推定されているそうですが、そういえばいつかお父さんが僕のことを、「宝くじに当たったようなもんだ」と言っていました。

でもお母さんの話では、国連の統計では世界中のあらゆるタイプの障碍者は世界総人口の1割以上、つまり約4億5千万人いるそうなので、「そうか、全世界の1割以上が僕の仲間なのか」と僕は思いました。

僕はお父さんが命名したように、今月から「カナー氏症候群患者」です。「自閉症」よりこっちのネーミングの方がだんぜんかっこいいです。



♪地デジチューナーなんて役立たずだとお払い箱にする 茫洋