蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第1部うつろい 第22回


bowyow megalomania theater vol.1


10月7日 雨

10月だというのに、毎日雨が降ります。ユーウツだ。字を書くと、いっそうユーウツだ。タイクツだ。

では本当にタイクツなのかしら、と自分で自分にたずねてみましたが、じつはそんなにタイクツでもなさそうなことに気が付きましたので、タイクツは撤回します。
テッカイ、てっかい、白紙撤回だ。ユーウツでテッカイだ。雄打敵貝だあ。

そこで、僕はテレビをつけました。つけた途端に、画面の真ん中に白い光が輝いて、プッツンと言った。プッツンだ。灰のような明るい灰色になって、それからゆっくり暗くなってゆきました。

テレビが死んだんです。テレビが死んだ。
ダンスがすんだ。タンスは飛んだ。テレビは死んだ。
ダンスはすんだ。タンスは飛んだ。そして僕も死んだ。
んだ、んだ、んだべ。

今日は、もう、やだ。

何もしたくない。僕、星の子学園へ行って、星の子から帰ってきたけど、僕はもう何もしたくありません。

僕はいま、ワープロの前に座って、ポツ、ポツ、ポツと雨だれのように、ポツ、ポツ、ポツと、これを、これこれこれこれこれこれこれこれこれこれこれこれこれこれこれこれを打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っ打っているんだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…………


墨痕淋漓「解脱」てふ賀状到来す 茫洋