蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第1部うつろい 第24回


bowyow megalomania theater vol.1


「岳君、今日、英語行くんだよ。分かった?」 
と高木先生はおっしゃいました。

高木先生、いい匂い。お母さんの枕とおんなじ。いい匂い。髪の毛が長くて、とてもサラサラしていて、きれいに輝いて、さわるととっても気持ちがいい。

だから僕、お母さん好き。高木先生、好き。田中美奈子も、好き。髪の毛が長くて、とてもサラサラしていて、きれいにお日様に輝いて、さわるときっと気持ちが良いだろう。
だから、お母さん、好き。田中美奈子、好き。高木先生とおんなじくらい、好き。なんだ。

今日、高木先生が、C組の前の廊下を通りながら言いました。
「今日、岳君、英語行くんだよ。分かった?」

僕、英語分かりません。アイ・キャン・ノット・スピーク・イングリッシュ。
でも僕、英語やるよ。

はい、高木先生。僕、いっしょうけんめい、がんばります!



伊勢丹の武藤氏斃れたり齢六十三瞼に浮かぶよ颯爽たる展示会の姿 茫洋