蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

「ドイツグラモフォン社創立111周年記念55CDセレクション」を聴


♪音楽千夜一夜第117回


1898年の設立から2009年に至る111年間にこのクラッシックの名門レーベルが世に送り出した55枚のレコード&CDを集めた記念碑的なコレコションです。

アルファベット順にざっとご紹介しますと、まずはアバドの隠れたブラームスの名盤である「21のハンガリア舞曲集」から始まって、私のアバター名とも相通じるかのアマデウス弦楽四重奏団による「ベートーヴェンの作品59、131」。昔懐かしアルゲリッチの「ショパンの前奏曲集」、ミケランジェリの「ドビュッシー前奏曲集&映像」、私の嫌いなホセ・カレーラスバーンスタインが徹底的に苛め抜いた「ウエストサイドストーリー」。

お次はブーレーズの「春祭&ペトリューシカ」の再録、御大ベーム翁の泣く子も黙る「モツレク」、アホバカドゥダメルの「マラ5」、ディスカウの「冬の旅」、フルニエのバッハの無伴奏、フリッチャイヴェルディの「レクイエム」、フルベンの「シューマンハイドン」、ハーンの「バッハ協奏曲集」、ホロビッツの「モスクワ・ライヴ」、ギレリスのベートーヴェンヨッフムの「カルミナ・ブラーナ」、カラヤンのベト9、ケンプのベト協4,5番、クライバーベト5,7番と続きます。

それからマルケヴィッチの幻想交響曲マゼールメンデルスゾーン、ミンコフスキーのラモー、ムターのブラームス、てんでつまらんランランのメンチャイ、ネトレプコ、ターフェル、ヴンダーリッヒ、クヴァストホフ、ヴィラゾンのアリア集、オイストラフチャイコンポリーニのショパン、リヒターのロ短調ミサ曲、ロストロのドヴォコン、リヒテルのラフコン、ヴァルヒャのバッハ等々、これでもかこれでもかのてんこもりでたったの1枚208円でした!

んで55枚中のベストワンはというと、これが我ながら意外なことにイゴール・マルケヴィッチがコンセール・ラムルー管と入れたベルリオーズの「幻想」。定評あるミュンシュ、クリュイタンスのパリ管あるいはフランス国立放送管とのライブを2割は軽くしのぎます。あの陰険なカラヤンが生涯にわたってマルケヴィッチを日陰に追いやった理由がよくわかる恐るべき名演でした。

次点は初めて耳にしたヴィラゾンのアリア集、3位はわが偏愛の指揮者フリッチャイが振った一世一代の名演、ヴェルディの「レクイエム」でした。


♪百聞は一聴に如かずロバの耳に響く王様の音楽 茫洋