蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第16回


bowyow megalomania theater vol.1

11月1日 晴

けさ、のぶいっちゃんとひとはるちゃんが僕のところへやってきて、
「おい、岳。今からおれたちどっか遠いところへ逃げよう。公平も文枝も洋子も一緒だ。」
と言いましたので、僕とのぶいっちゃんとひとはるちゃんと公平君も文枝と洋子は6人組になって運動場の鉄棒のところにいっぺん集まってから星の子学園の裏山に登りました。

登りながら逃げました。

おととい台風がやってきて大雨が降ったので道はぬかるんでいました。
文枝が転んでスカートが泥だらけになったので、みんなでふいてやりました。

裏山のてっぺんのところから星の子学園を見下ろすと、ちょうど午前中の仕事が終わってみんなが作業室から出てくるのがよく見えました。

考二と敏が晴美にちょっかいを出したら、長島先生に怒られてぶん殴られてベソをかいている姿もはっきり見えました。

「岳、もう星の子なんか行かなくてもいいんだよ」
とひとはるちゃんがやさしくささやいたので、僕はほんとうにうれしくなりました。

ばんざーい! ばんざーい!


まいにち三浦スイカむさぼり食らう快楽 茫洋