蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第29回


bowyow megalomania theater vol.1

それから3時間以上もたって、午後の2時半くらいだったでしょうか。ひとはるちゃんが血だらけになって、服もズタズタに破れて、はあはあ肩で息をしながら、ワアワア泣きながら帰ってきました。

「やられた、やられた、のぶいちがつかまっちゃった。ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、こんちくしょう! あいつらぶっ殺してやるぞお!」

と一息にしゃべって白眼をむいてぶっ倒れました。公平君は、

「洋子、文枝、ひとはるちゃんをかいほうしてやれ」

と言うと、ピストルをぎゅっと握りしめてたった一人でのぶいっちゃんとひとはるちゃんが出かけた方角へすたすたと歩み去りました。

それからおよそ1時間くらいたったでしょうか。ズドーンと音がして、それからアッという叫び声、ウワワワアーという悲鳴が遠くの方から空を切り裂くようにしてきこえてきて、またそれっきりあたりは静かになりました。


一夜明け一億物想う秋となる 茫洋