蝶人戯画録

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文化学園服飾博物館で「アンデスの染織」展をみて


茫洋物見遊山記第53回&ふぁっちょん幻論第62回

アンデスといえば私のカボチャ頭には、新宿南口でよく見かける汚らしい身なりの楽団が演奏している「コンドルは飛んで行く」やマリオ・バルガス=リョサやインカやナスカ文明くらいしか思い当たりませんが、ここいらへんではおよそ2500年に亘って独創的な文明文化が栄えてきたそうです。

現在のペルーからボリビア北部の総称であるアンデス地方では、古来良質な木綿やアルパカなどの獣毛と豊富な染料に恵まれたために、織物、編み物、染物など多種多様な染織展開されてきました。そしてこの会場を訪れた人は、紀元前1000年のチャビン期から2-4世紀のナスカ、6-7世紀のワリ、12-14世紀のタンカイやチムー、そして16世紀の有名なインカ文明の時代まで、場所と時期を移しながらその様相を変化させてきたアンデス様式の多種多様な染織のバリエーションを堪能することができるでしょう。

鮮烈な赤をバックに映える単純素朴な鳥や人物や魚、わが国の万葉時代をしのばせる貫頭衣、独特の神話的な文様などがわれらを遠い異郷へと導きます。

以上、例によって同博物館の資料を元にご紹介しました。なお同展は来る3月14日まで開催中。日曜・祝日は休館です。


現代より古代が優れるもの多し文化文明人間思想 茫洋