蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

イーストウッド監督の「ペールライダー」を観て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.115

1985年製作の西部劇で、題名は新約聖書ヨハネ黙示録第6章第7節に基づいている。

すなわち、「第4の封印を解き給ひたれば第4の活物の「来たれ」と言うを聞けり。われ見しに、視よ、青ざめたる馬あり、之に乗る者の名を死といひ、陰府これに随ふ。彼らは地の四分の一を支配し、剣と飢饉と死と地の獣とをもて、人を殺すことを許されたり。」

とあるを以てこの映画のキャラクターを設定し、東森選手自らがこれを演じたのであるが、どうもバイブルのカッコよさには到底叶わなかったようだ。ただし殺し屋の東森君が「牧師」に扮しているのは面白い。

それから東森君のライヴァルはお揃いの白いコートを羽織った7人の殺し屋であるが、これは黒沢選手の「7人の侍」の裏返しのパクリで、正義の味方が悪の張本人になっている。

お約束通り悪漢どもを皆殺しにした東森君が町の彼方の高い山に向かって去っていくと、彼を母親と取り合った15歳の娘が、「牧師さーーーん! アイシテルウ……」「さよならああ、ありがとおおお……」などと絶叫するが、これはかの「シェーン」のラストシーンのパクリで、さすが東森君はいろいろ古今の文献や名作をよく研究しているようだ。



「慎太郎」ではなく「錆びたナイフ」と書け東京都民よ 茫洋