蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第41回

kawaiimuku2011-05-26


bowyow megalomania theater vol.1

二人、三人、四人と、殺意に満ちた警官たちが次々にバリケードを飛び越えて僕たちのとりでの内部に侵入してきました。

血に飢えた体格の良い男たちは、僕と文枝と洋子の上から見境なく警棒を力任せに打ちおろし、僕たちの頭も顔も身体のあちこちもたちまち傷だかけになり、あまりの痛さにうめきながらあたりを転がりまわっていました。

と、その時でした。

かさにかかって僕たちの全身をめった打ちにしていた黒い男たちが、あちこちでバタバタと倒れ、口から血ヘドを吐いて地面にたたきつけられました。見ると手に手に木切れや鉄棒を持った少年少女たちが歓声をあげながら警官を撲っています。

「やれ! やれ! 徹底的にぶちのめせ!」

と喚きながら特別攻撃隊の警官のお腹の上で跳躍しているのは、まぎれもなくのぶいっちゃんでした。ほとはるちゃんは、と見れば、洋子と文枝に襲いかかっていた警官の首にロープをぐるぐる巻きにして両足を肩口にあてて、えんやこら、えんやこら、どっこいせ、と掛け声をかけながら、両手で力いっぱい引っ張っています。

その警官は、とうとう口から舌を出して息絶えました。


なんでもかんでも忘れてしまうそのうち自分さえ忘れてしまう 茫洋