蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第46回


bowyow megalomania theater vol.1


十人の死体のいちばん底から、公平君の死体がぺっちゃんこになって出てきました。

文枝と洋子は泣きながら公平君のぐちゃぐちゃの死体の上から白い布を何枚も掛け、のぶいっちゃんとひとはるちゃんが頭と足を持って不思議なお家のうしろにそびえる巨大なカエデの樹の下にそっと横たえました。

もう陽はとっぷりと暮れ、西山の端に隠れようとする太陽が、最後の緑の光線を放ちました。その時、カエデの葉は見事な黄金色に輝き、足元に眠る公平に最後のあいさつを送っているようでした。

のぶいっちゃんとひとはるちゃんは、カエデの樹の下に大きな穴を掘り、その穴にかわるがわる身を横たえて寝具合を見計らってから、公平君を埋めてやりました。

文枝と洋子は全身傷だらけの痛々しい姿でしたが、近くの草むらにはえていた小さな白菊と紅いカラスウリの実を公平君のお墓にそなえてから手を合わせて、長い間祈りを捧げました。

百五十名の園生たちも、その後ろで深く頭を垂れて祈りを捧げました。


おらっちはおらっちはおらっちはおらっち 茫洋