蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ビリー・ワイルダー監督の「フロント・ページ」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.130


1928年ニ「ブロードウエイで上演された戯曲を、1974年にビリー・ワイルダー監督が映画化したコメディです。

お馴染みジャック・レモンがシカゴの熾烈な新聞記者生活から足を洗って上司のウオルター・マッソーの制止を振り切ってスーザン・サランドンのピアニストと結婚するためにフィラデルフィアに発とうとした晩に、絞首刑に処せられようとしていた警官殺しの死刑囚を巡るドタバタ事件が発生。

世紀の特ダネを目の前にして記者本能に火がついたたレモンは婚約者をほっぽりだして大活躍。ついに堪忍袋の緒が切れたサランドンは怒り狂って独りで駅に向かいますが、結局物語は落ち着くべき所に収まる、という一幕物で、ワイルダーお得意の魔術的喜劇皿回しが冴えわたる。

まあ面白いといえば面白いのですが、そのトリックの仕込み方がこれでもか、これでもかとしつこすぎて嘘っぱちの度合いがエスカレートするので、少々辟易します。過ぎたるはなお及ばざるがごとし。

もっと自然なお笑い映画を作って欲しいのですがこれはちとないものねだりか。最後にサランドンがストコフスキーの甥を一緒になるという落ちの付け方には笑ってしまいましたが。

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