蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第3部さすらい 第19回

kawaiimuku2011-09-20



bowyow megalomania theater vol.1


12月8日 曇

昨日から洋子のやつは、のぶいっちゃんをやけに親切にします。
みだりに笑いかけたり、手を握り合って浜辺を散歩したりしています。

のぶいっちゃんはそんな洋子の髪の毛にちょっと口で触れて匂いをクンクン犬のようにかいだり、やたらと身体に触ったり、もうやたらベタベタして僕のことなんかてんで相手にしてくれません。

いったいこれはどうゆうことなんだ。これはいったいどうゆう訳なんだ。

これは僕がなにか洋子に悪いことでもしたからなんだろうか? 
それで急に僕のことがきらいになったからなんだろうか? 

いくら考えても分かりません。きのうだって洋子のやつ、僕とじゃなくのぶいっちゃんと一緒に寝やがって……

くそ!くそ!くそ! なんて悪い女なんだ! その前の夜はあんなに僕ちゃんのことを愛してくれたのに……

もう僕は女の子なんて信じられない。きっと洋子は、どんな男の子とだっていいんだ。あいつは誰とでも寝るような女なんだ、あいつは……。


晩節を全うするは難し鎌倉蝶 蝶人