蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ヴィンセント・ミネリ監督の「花嫁の父」を見て


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.202

私の大好きなスペンサー・トレーシーが主演する1950年ハリウッド製作のどたばたコメディです。

長年にわたって私財を蓄えてきた弁護士が、目に入れても痛くない愛娘エリザベス・テーラーが突然結婚すると言いだして連れてきた青年にパニックとなり、はじめは反対したり、次には簡素な式を、などと注文をつけていますが、娘と妻の連合軍のペースにはまってどんどん大規模かつ物入りの挙式となり、挙句に来場者で溢れかえったホームパーティの会場で娘と別れの挨拶も出来ないままに新婚旅行に旅立ってしまいます。

映画はそのランチキパーテーが終わってへたりこむ回想シーンから始まるのですが、「男は出て行って戻らないが女の子はいつまでも家にいる」と言って、初老なれどまだそれなりに若く、美しい細君とダンスを踊るラストが心に沁みます。

それにしても当時のアメリカでは、挙式費用は全部新郎側が負担したのでしょうか? わたしんときは確か折半でしたけど。

横須賀の歯医者へ行けば何か出来ると思いきや一句も詠めずただ痛いだけ 蝶人