蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

西暦2012年如月 蝶人狂歌三昧

ある晴れた日に 第104回


鬼は外福は内!無限の闇に投げました

マレーシアと中国の女子学生に「日本人なんかに負けるな」と就活アドバイスしているビミョウなわたし

耕君と雪の下の小林理髪店に行き同級生の小林君に散髪してもらいました。

ただひとりバーキン乗せてエアフラは放射能の島に舞い降りたり

一匹の山猫となりて巣に潜む

どうしようもなく雄どうしようもなく雌

一握りの名作あまたの凡作込みにして名人はつねに名人

凡歌あり駄作の山ありて秀歌あり

太刀洗泉に二個のおたまが浮かんでる如月十日は春の訪れ

遺産処分のため3333万円差し上げますてふメール連日来る三井香奈子そも何者

奇声上げらあらあ泣きながら走る人憎んでいるのはこの私とは

雲見れば心哀しむまして愛犬ムクの形なればなおさら

小泉岡松伊藤大木年明けてどんどん死ぬなり鎌倉十二所村住人

ジャブ、ジャブ、ストレート、アッパーカット! さあ生き抜くんだ俺たち!!

市民より情け無用にむしり取る鎌倉税務署に災いあれ

青空に孤蝶消えゆく寒さかな

要は国や世間や他人をあてにしないで歩き続けること

造花でも真花を超える花にせよ芸術は俗世を超えた仇花なれば

おお、今も昔も他人の花はなんと美しく見えることか! 

からくも冥界から蘇り宝石耀く朝を迎えし哉

カラヤンの濡れ手に粟のレガートの濡れ羽の色の気色悪さよ

国家など即「YMCA」に変えるべし全国民が立って踊って歌うだろ

横須賀のリンガハットでモザールのBGM聞きながら長崎チャンポン

横須賀の歯医者へ行けば何か出来ると思いきや一句も詠めずただ痛いだけ

われ俄かに和製サンテックスとなりてマライ半島を下りぬ

温かき布団に包まれ寝た夜に南太平洋複葉郵便機のパイロットになりし夢見る

神様の涙のようなペイズリー滅びゆく我らを優しく包まむ

コメントの無き日々に耐え日記書く

宙天に孤鳥嘯く冬の朝


吉田山田西田東田日本人は田圃の傍で生まれました 蝶人