蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

西暦2013年皐月蝶人花鳥風月狂歌三昧

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ある晴れた日に第127

 

 

じゃんじゃかじゃん5月になってもなにもない

 

おのれの内臓をまるでベーコンのように描きたりフランシス・ベーコン

 

フランシス・ベーコンです!」と画家は答へたり「ローマです!」と答えしヘプバーンのやうに 

 

あの人は黒い花びらひとたびは散れどまた巡り来る夢とルドン歌いき

 

たった一時間でルドンがわかってしまったといってもいいの

 

五月雨やニッポン全国楽しいウヨクウヨウヨ

 

全国の学友諸君お元気なりやこの国は右翼だらけになりました

 

井の中の蛙は夜郎自大にて世界を相手に戦うと嘯く

 

「消費税と書かなければ値下げしてもいい」ってお前はヒトラーか

 

なんで固くて強くなきゃあかんのか安倍川餅弱弱しく伸びたらいいじゃんか

 

CDを買えなくなった私の代わりにトヨタが大儲けするそれが安倍蚤糞

 

国益国益と騒いでいるがいったいどういう国のどいつのための利益なんじゃ

 

天皇を元首に祭り上げるというその前によくご本人にお伺いしてご覧よ

 

じぇじぇじぇじぇ日経平均大暴落ほんとは誰も安倍蚤糞なんて信じちゃいない

 

人はみな自分の話が一番面白いと思ってる ところがところがギッチョンチョン

 

ミニストップで1杯100円で売っているなんたらコーヒーの異常な不味さよ

 

 

尾崎翠出口なおに捧ぐ

翠は「悲しきダダ」なおは「怒れるダダ」襤褸を背負いて峠をくだる

 

百千のおたまじゃくしが陽を仰ぎ「早くカエルになりたい」と叫んでる

 

モンローが雲中菩薩の如く飛んできて我に抱きつく春の夜の夢

 

明るさは滅びの兆しか青空を三匹の鯉黙々と泳ぐ

 

余に「ランニング・ハイ」てふ言葉教えてくれしアメリカン人35年前に亡じたり

 

「今日は施設には行きません」3.11の朝に告げたり障碍の息子

 

耕君からお父さん優しいですと初めて言われた4月15日月曜日

 

「おばあちゃん、僕お仕事がんばってます」と遺影の前で叫ぶよ耕君

 

俳優が開演時間を忘れて休演すこれぞアホ馬鹿日本の象徴なるか

 

土踏まぬ超高層の少年の掌の上をダンゴムシは行く

 

全山が緑というがその緑ぜんぶ違っているのだ

 

時はいま皐月の若葉の煌めきにいざ生きめやもと鶯が鳴く

 

青は天赤は煉獄の色にして妖しく耀う王仁三郎の碗

 

この赤もこの黄緑も叫んでる生きよ生きよと王仁三郎の碗

 

桜咲く君と二人1500円のイタリアンランチ食べるしあわせ 

 

ほんたうの自分なんかどこにもありゃせんありのままの今の自分がここにあるだけ

 

飛び去りてひとつ所にまた戻るアカタテハ見る白き富士の嶺

 

ビヨンセの口パクなんて渡辺直美と同じじゃないか

 

なつさんなら大丈夫ですよとなんの根拠もなく思う僕

 

午前中から映画を観ているおのれを恥ずかしいと感じられるような人が好きだ

 

すずかけの並木道をわれゆけばいとながきくちなわ静かに横切る

 

誰ひとり買うひともなき馬鈴薯よはつかに緑の新芽出したり

 

埼玉をさいたまなどとひらくのはさだめし痴呆の所業なるべし

 

若冲金閣寺の水墨画に描きたる四方竹を斬るな農夫よ

 

なにゆえにわれをつけ狙うかはいざ知らず口赤き狼犬に追われたり

 

余りにも早く父母死にたればその身代わりでわれ生きており

 

新聞の週刊誌広告見れば世の中が分かったようになる不思議

 

衰えた生命力を燃やすためジェームス・ブラウン聴きながら鱈子スパ食べてる

 

値が安く丈夫で長く履きやすい買うならことと下駄は「てらこ」で

 

DⅤとⅤDの違いもわからず生きており

 

じぇじぇじぇお前みてえなアホは目え噛んで死んじまえ

 

春蘭を尋ねてみれば花はなし

 

薫風や出町柳の柳腰 

 

流鏑馬や黒目に穀雨注ぐ日に

 

ありがたやオタマジャクシに降る穀雨

 

全山を緑にせんと穀雨降る

 

万緑に背を向けて読む春樹かな

 

春樹読む謎の続きも春の夢

 

荷風忌やラジオを鳴らす人もなし

 

万緑の緑異なる五月かな

 

万緑の万色異なる五月かな

 

躑躅てふ字は書けずともうつくしき

 

子供の日国旗を揚げる人もなし

 

つばくらめ我が家には来ぬ寂しさよ

 

全山が緑となりて皐月

 

嗚呼また無明長夜の悪夢が続いていくんや

 

 

すいかずらの甘き香りに包まれて13527日蛍飛びけり 蝶人