蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

鎌倉大町の「安国論寺」を訪ねて

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茫洋物見遊山記第141回&鎌倉ちょっと不思議な物語第302回 

 

建長5年(1253年)に鎌倉に入った日蓮が初めて庵を結んだのがこのお寺で、本堂の向かいにある「日蓮岩屋」と呼ばれる岩窟で彼の有名な「立正安国論」が書かれたそうだ。

 

しかし私は日蓮日蓮宗創価学会もそれほど好きではないので、このお寺ではサザンカやカイドウの巨木くらいしか興味が無い。なぜか右翼政党の自民党の忠犬ないし体制のコバンザメとなりさがった公明党の現在の哀れな姿を知ったら、鎌倉時代における永久革命家の日蓮上人はなんとおっしゃることだろう。

 

最近は選挙運動にばかり熱中している彼らは、ろくに法華経日蓮の教典すら読んでいないのではなかろうか。それとも彼らはそもそもが日蓮の宗徒ではないのかもしれない。

 

と、大いなる疑問を懐きながら寺の入り口で佇んでいると、そこには正岡子規日蓮を詠んだ異様に大きな句碑が立っていて、

 

鎌倉の松葉が谷の道の邊に法を説きたる日蓮大菩薩

 

という俳句が大書されていた。おそらく子規が明治の学生時代に鎌倉、江の島を旅行したおりの作品だろうが、まことにくだらない腰折れで、もし子規が生き還ってこれをみたら赤面するのではないだろうか。日蓮を大菩薩とする見解にも妙な違和を覚える。

 

安国論寺のすぐ隣には額田病院があって、昭和13年のはじめに堀辰雄がここにしばらく入院していたという。

 

 

なにゆえに朝4時半に電話してくるのか障がい者ホームでもっとネンネグーしてなよ耕君 蝶人