蝶人戯画録

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「マニフィカト~500年の合唱音楽」を聴いて

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音楽千夜一夜第319回 

 

 

ルネッサンスからバロック、古典派、ロマン派の時代を経て現代へと至る過去500年の中で歌われてきたさまざまな合唱音楽の中から、代表的なものを中心に50枚のCDにまとめたお買得なボックセット。2012年度グラミー賞合唱部門受賞のウィテカーのアルバムまで収録されています。

 

ガーディナーやホグウッド、ピノック、ルセなどのピリオド系に加え、ジュリーニ、デュトワ、ケンペ、ショルティ、デュトワ、デイヴィスといった巨匠たちの名前が並ぶのは壮観で、マクリーシュの『天地創造』、ブーレーズの『詩編交響曲』まで代表的な合唱曲を50枚のCDに収めています。

 

特に聴きごたえがあったのは、シャイーとゲバントハウス管弦楽団の『マタイ受難曲』で、これはビデオで視聴したときはつまらない演奏だと思ったのですが、このCDは良かった。

 

その他のバッハの受難曲やカンタータを担当しているのはガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツとモンテヴェルディ合唱団ですが、これは半分過去の人の過去の音楽の面影を耳にしているような印象で、新旧すべてに冠絶するものは、やっぱりカールリヒターとミュンヘンバッハの大演奏でありましょう。

 

しかしデッカとドイツ・グラモフォンの総力を結集した名演名録音が、安倍蚤糞による価格暴騰にもめげずたった1枚185円という廉価で入手できるのは喜ばしい限りです。

 

なにゆえにEMIもフィリップスも無くなったのか栄枯盛衰クラシック・レーベル 蝶人