蝶人戯画録

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内田樹・白井聡対談「日本戦後史論」を読んで

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照る日曇る日第790回 

 

 

 

 敗戦の落とし前をきちんとつけられなかったのは我が国だけかと思っていたが、そうでもないらしい。

 

 内田氏によれば、意外なことにフランスは第二次大戦の敗戦国らしい。パリを解放したのは正当なフランス政府軍ではなく、ヴィシー政権から死刑宣告を受けていたドゴールの一交戦団体で、第4共和政の継承者であるヴィシー政権は、インドシナで日本軍と植民地共同統治協定を結び、国内のユダヤ人をアウシュビッツに送り込んでいたそうだ。

 

 またイタリアは、ムッソリーニ亡きあと密かに連合国と講和条約を結び、ドイツの傀儡政権であるイタリア社会共和国を武力で打倒したから、なんと戦勝国として戦後を迎えたそうだ。

 

 ドイツはファシズムをほぼ全国民が熱烈に支持したにもかかわらず、ヒトラーなどの指導者がみな死刑になったので、罪科はみな彼らになすりつけてしまった。今は戦後民主主義の優等生風だが、頼みの経済が左前になれば、右翼がうようよ輩出するのではないだろうか。

 

 日本は幸か不幸か、占領軍の手で一握りの戦争責任者のみが断罪されたが、「大元帥」の大天皇は無罪放免されたし、旧指導層の生き残りはもとより、肝心の民草だって本気で自分たちが悪いとは思っていない。ようだ。

 

 民草の多くは、被害者意識はあっても外地での加害者意識はほとんどないか、都合よく忘れてしまったらしいので、現政府の平成新富国強兵政策が完熟したら、中国なんかとの戦争ごっこに突入して、またしても泣きっ面にハチをみるだろうよ。

 

 

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