蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

鎌倉の鯨が泳ぐ梶原屋敷


鎌倉ちょっと不思議な物語14回


この小さな谷戸に、鎌倉時代の有名な武将梶原景時が住んでいました。(この物語の「第1回太刀洗篇」で平広常を斬ったあの景時です)

しかし正治元年1199年、梶原景時が小山朝光を将軍の頼家に讒言したことに怒った60名の諸将が連署して景時を弾劾しました。

仕方なく景時は逃亡しましたが、結局駿河の国で吉幡小治郎に殺されてしまいました。

この梶原屋敷は同年の12月に破却され、その跡は長らくの間畑でしたが、いまは工務店の汚らしい道具置き場になっています。

屋敷の入り口の右側には梶原井戸が奇跡的に現存しています。

この井戸の底に近所の明王院の鐘が入っていたそうですが、後に引き上げられたと「十二所地誌新稿」には書いてあります。

 梶原屋敷も驚きですが、もっとびっくりするのはこの屋敷跡入り口に置いてある巨大な2頭の鯨です。きっと梶原景時の霊を慰めながら谷間を遊弋しているのでしょう。