蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

続 安田次郎著「走る悪党、蜂起する土民」を読んで


照る日曇る日第143回&鎌倉ちょっと不思議な物語139回 

盂蘭盆には死者のために経を読み、供物や手向け水を供える。風流(ふりゆう)、風流踊り(盆踊り)はほんらいは死者の供養のためのダンスだが、これらは室町時代に日本全国で流行し、芸能化・娯楽化の道をたどっていたと著者の安田次郎氏は書いている。


応永30年1423年船津村の風流踊りは「吾妻鏡」の朝比奈三郎義秀の活躍の場面を脚色して村人総出で踊ったそうだ。

私の家の近くに朝比奈切り通しがあるが、この難所は鎌倉幕府の侍所長官和田義盛の剛勇無双を謳われた息子、朝比奈三郎義秀が一夜にして切り開いたという伝説で知られている。

そして和田氏がかの悪名高き北条氏に陰謀に抗して和田合戦を引き起こしたとき、義秀は総門を単身突破して幕府の南庭に乱入したと「吾妻鏡」は伝えているが、彼らはこの有名なシーンを再現したのであった。


道野辺の桜の幹に止まらせぬ飛べずにもがく油蝉

生まれつき障碍のある油ゼミ桜の幹に止まらせてやりぬ