蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

西暦2009年茫洋睦月歌日記


♪ある晴れた日に 第51回


ブルーベリー、苺無花果林檎ジャム数々あれど柚子が大好き

何事のおわしますかは知らねども胸に満ち来る光一筋

われもまたソウル・トレインに乗り込んで、世界の果てまで旅立ちたし

武士は義に女は恋に死すべしと元禄の掟ついに定まる 

昼下がり舗道に伏したる黒猫は薄き血吐きて瞑目しており

「新世界」の第4楽章は行進曲ではない讃歌である「歌え歌え」とクーベリックは叫ぶ

やたら雷、津波を連発するなかれ気象庁とマスコミはピーターと狼

豚のごとく太りしもの武道館にこけつまろびつ還暦ジュリーコンサート

6時間ぶっちぎり武道館還暦ジュリーは日本のプレスリー

なにやらんかなしききもちになりにけりじへいしょうきょうかいがつくりしぼうさいはんどぶっく

災害はいつどこで起こるか分からない君のために何ができるか
殺すか殺されるか一つを選ぶ苦しさよ

かくすればかくなるものとは知りながら御身大事に敵殺す君 

遥かなる遺恨のほどはさておきて眼下の敵はみなみな殺せ  

夜叉の如き形相で嬉々としてパレスチナ人を血祭りにあげているイスラエル外相 

眼には眼を歯には歯を旧約の教えにいそいそと従うユダヤの民かな 

自分探しなぞというありあわせの言葉を用いて己の営為を規定しようとするそのお粗末さ肌寒さよ 

美しい人の心が美しいかどうかがはっきりと見えたらいいのに

サンキュロットたちを仇やおろそかにすれば罰が当たるぜよ

南蛮服に身を包み真紅のワイン飲み干したり織田信長

着物を裂き足袋職人が洋服に縫う沼田氏こそはヨウジの大先輩

大人しき雌の駱駝に跨りて砂漠往くなり猛きベドウイン

どうせわたしをだますならさいごのさいごまでだましだましつづけてほしかったあ

望みなきにしもあらずなおも一縷の希望を胸に進みたし絶望も希望も虚妄ならば

堕落腐敗しきった平成俳句界にいまひとりの碧梧桐出でよ
 
管弦の楽高鳴れば春鶯囀大宮人の宴は果て無し
 
こんな小説のどこがおもろいんじゃあと叫びて屑籠めがけて投げつける

どんな革命にも大中小の獅子がいた吼えよライオン

女性の蜂起なくして真の革命なし昔も今も

歌舞伎座やオリンピックに口出しする暇あらば新銀行の算盤弾け石原都知事


若水をこころに浴びて命かな

立ったまま朽ちてゆかなむ0九年

市田柿1箱498円鎌万の安さ畏るべし

武士道は辞世一発死ぬことと見つけたり

遠い日を思い出させて遠い景

おお天よ、われらが運命に形を与え給え



☆青い空には雲がある

青い空には雲がある
雲の上には光がある
光の彼方に夢がある

京都には百万遍がある
鎌倉には十二所神社がある
綾部には「てらこ」がある

百貨店には屋上庭園がある
サーカスにはブランコがある
リーマンにはボーナスがある

カレンダーには旗日がある
機動隊には7つある
小田急線にはロマンスカーがある

機動隊には貸しがある。
吉本隆明には借りがある
愛犬ムクには墓がある

手術台にはメスがある
佐々木小次郎には物干し竿がある
露台には植木鉢がある

食堂の戸棚にはドラヤキがある
隣の親父には抜け毛がある
国籍法には抜け道がある

金融業には悪がある
障碍児には無垢がある
我が家の玄関には灯りがある

イエスにはマリアがある
大刀洗には井戸がある
畳の上には布団がある

猫にはタマがある
男にも玉がある
竜宮城には玉手箱がある

赤ちゃんには乳歯がある
処女には処女膜がある
老人には萎びた珍宝がある

レノンにはイマジンがある
サントリーには山崎がある
私には2人の子供がある

ジョン・フォードにはジョン・ウエインがある
助さんには格さんがある
私には可愛い奥さんがある

蝶には翅がある。
臍には胡麻がある
眼には涙がある

道には石がある
身体には骨がある
人には理想がある

青い空には雲がある
雲の上には光がある
光の彼方に夢がある




♪オバマとなら和解してもいいとフィデルフィデル和解せよ 茫洋