蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ロドリゴ・ガルシア監督の映画「美しい人」を見る


照る日曇る日第226回

衛星放送で先日やっていた05年公開のアメリカ映画です。

タイトルが妙に気になったので、ほんとに美しい人が出てくるのかと期待していましたら、ホリーハンターとかシシースペイセク、とどめにグレン・クローズまで登場します。これは「美しい人」というよりは「元美しかった人」ではないかなとちょっと思ったりしましたが、それは冗談。心の清い女性が陸続と登場する上出来のオムニバス映画でした。
ちなみに原題は「nine lives」。9人の女性の人生の断面をワンシーン、ワンカットであざやかに描いています。

グレン・クローズは、たしかNHKのBS2であの超面白かった「ホワイトハウス」のあと番組(題名忘却)で、じつに見事な演技を披露していました。マーチン・シーン主演の「ホワイトハウス」も抜群だったけど、これが謎が謎を呼ぶまたしても超々面白い連続ドラマでした。

ああそれなのにたったワンクールで打ち切りにしてしまうとはNHKはけしからん!
こういう超一流のドラマにくらべたら「篤姫」なんかまるで幼稚園のお遊戯みたいなもんでござんすよ。

ところでハリウッドでは(でも?)、もう若くはない演技派女優の出演機会が極端に減ってあほばか美貌肉体誇示女優にとって替わられているようです。そのことを主題にした映画も数年前に制作されていたような気がしますが、これはあほばか男性の一員として分かるだけにちと心が痛む話。老いも若きも、美しい人も、美しくない人も末長くよい映画に出演していただきたいものです。

♪美しい人の心が美しいかどうかがはきりと見えたらいいのに 茫洋