蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第20回


bowyow megalomania theater vol.1


11月2日 晴

朝起きたらものすごく濃い色をしたムラサキシジミが強い風に翅をあおられながら杉林の片隅からワッとどよめくように飛び出して、例の不思議なお家の左わきをチョロチョロ音を立てて流れている小川の方へと上下さかさまになって舞い落ちていきました。

のぶいっちゃんとひとはるちゃんがいつの間にか山の奥へわけ入って持ち帰ってきた栗のと熟した柿を、洋子と文枝が用意したフキの葉の上にのせて、みんなで朝ごはんを食べました。

レンガを積んで簡単なイロリをつくって枯れた草や木を並べ、その上に栗の実をたくさん並べ、公平が持ってきたマッチで火をつけると、栗の実はパチパチと音を立てて弾けました。

炭のようにまっ黒になった栗の外皮を歯で抉りあけてかみやぶると、中から甘い黄色い果実がホロホロと現れ出ました。

みんなで分け合って食べました。柿はまだ少し渋かったのですけれど、みんなお腹が減っていたので、気にしないでぜんぶ食べちゃいました。


ハスの葉を光にかざし見つめをる息子の最後の夏休みかな 茫洋