蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第28回


bowyow megalomania theater vol.1


11月4日 曇

朝起きるとなんだか様子が変です。虫が1匹も鳴いていないし、カラスもスズメも一羽もいません。いつもは家の周りをカアカア、チュンチュンと飛び回っているのに……。

向こうのススキの銀入りの穂先が風もないのにやたらとそよぎます。

「どうやら怪しい奴がいるようだ。いったい誰だろう?」

と、公平君が独り言を言いながら手を額にかざしてあたりを見やりました。

「なんだ、なんだ、誰かやって来たのかよお」

と、大声でのぶいっちゃんとひとはるちゃんが言って、

「よおし、俺たち兄弟2人でちょっくら偵察に行ってくるわ」

と言って、2人は連れだって小川の方へ降りてゆきました。

しかし、2人とも1時間たっても2時間たっても戻って来ません。




まぐわいて産みつけて一週間で死んでいく見事な生き方 茫洋