蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第36回

bowyow megalomania theater vol.1


洋子と文枝はひきつった顔をして2人でひしと抱き合っています。僕も耳を手でふさいで

「こわいおう、こわいおう」

と叫びながら、不思議のお家のまわりを全速力で走りまわりました。

「よおーし、分かった。もういい。2人ともそこから降りてこいよ」

と公平君は、落ち着いた声で、興奮のるつぼで燃えたぎっていたのぶいっちゃんとひとはるちゃんに呼びかけると、2人は、かえでの巨木を両足でしめつけながら、ずるずると地上に降りてきました。

 やがて公平君は、大人のように腕組みをして、奥歯をぎゅっと噛みしめながら言いました。

「よおーし。じゃあこうしよう。みんなよく聞いてくれ。僕たちは、おまわりを傷つけるか、殺してしまった。おそらくはもう死んでしまっているだろう。でも僕たちは悪くない。あっちが先に攻撃してきたからこういうことになってしまったんだ。敵は今日から大部隊でこの不思議なお家めがけて押し寄せてくるに違いない。

 しかし僕たちは、ここでむざむざやられるわけにはいかない。僕たちは仲間をぜんぶここに集めて奴らと戦うんだ。のびいちとひとはるはもう一回星の子へ行ってみんなをここへ連れて来てくれ。岳と洋子と文枝は僕と一緒に警官隊を迎え撃つ準備をしよう。

さあ、かかるんだ!」




一粒の栗の実の比類なき充実 茫洋