蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

「あるいは裏切りという名の犬」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.65

パリ警視庁のある「オルフェーブル河岸36」という題名が、どうしてこのような訳のわからないタイトルになってしまうのか不可解だが、この血なまぐさい警官の殺戮と暗闘の物語は実話だというから驚く。

ともかくパリ警視庁を代表する有力刑事(ダニエル・オートイユ)がひとりは暗黒街のチンピラたちとつながっており、簡単にだましたりだまされたりする。こんなやつがよく警官をやっているもんだ。

ところがもうひとりの、同僚に圧倒的に人気がない刑事(ジェラール・ドパルリュー)は、人気者のライバルが妬ましくてならず、その手柄を横取りしようと大捕り物を失敗させて同僚刑事を死なせたり、ライバルの刑事をちくって牢屋に送ったり、しまいにはその愛妻を殺したりする大悪人。

それなのにライバル不在の間に大出世してナンバー2の警視長として君臨していたというのでまた驚く。しかしこれでは第一の刑事があまりにも可哀想。きっと復讐するに違いないと思って息を殺して見ていたら、結局自分では手を下さなかったのだけれど、自分が主催する華麗なパーティの夜に、通りすがりのあんちゃんにいきなり頭に拳銃をぶち込まれて即死するのでまたまた驚く。

いったいこれってほんとうに実話なのか? パリ警視庁ってこんな連中がたむろしているのか? だったら日本の警視庁は大丈夫なのかしらん。私の家に以前やってきた二人の刑事のレベルは相当低かったけれど。

往年の青春スタア、ミレーヌ・ドモンジョが乳母桜になって登場しているも驚き。おばあさん、お手柔らかに。


営業は真心に尽きるなり逗子ホームイング石田店長 茫洋