蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第50回


bowyow megalomania theater vol.1


文枝と思われる、けれども首のない、血だらけの死体もありました。文枝がいつも着ていたGO! YOGHI GO!と書かれた、寝ぼけウサギのトレーナーがその目印でした。


ひとはるちゃんと文枝の無惨な死体を見る僕の心にはなんの感慨もありませんでした。けっきょく僕らは最初からなにも失うものもなく、生まれた時から連戦連敗、しょせんは世間の人のおこぼれで生かされ、邪魔になったら即殺されるために生まれてきたのですから。

僕はいつのまにか呟いていました。

一番ホームに、電車が、参ります。一番ホームに、電車が、参ります。次は藤沢本町に停まります。危険ですから、白線の内側迄下がって、お待ちください。お客様に、お願い致します。発車間際の駆け込み乗車は、危険です。無理な御乗車をなさらないよう、お願い致します。

二番ホーム、御注意ください。電車が通過致します。危険ですから、白線の内側迄下がって、お待ちください。岳君、定期ちゃんと、見せなさいよ。分かった?


梅の実を残して流れる小川かな 茫洋