蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第2部たたかい 第53回

bowyow megalomania theater vol.1

歌いながら洋子は、両手を夜空に高く掲げつつ、細長い身体をゆっくりくねらせながら踊るのでした。

ああ、私の好きだった男の子たちよ
橋爪君、吉元君、黒田君、安田君、相沢君、ヨハン・ヘリベンシエール君、
どこへ行ってしまったの? 
どこかで元気にしているのでしょう?
それとも、もうこの世の人ではないの?
私ももうすぐそちらに行くわ
それまで、そこで待っていてね……

そう言いながら洋子は、青白い満月の下で、踊り続けました。

死者たちのため、生者たちのため、ものみなすべてのため、名づけえないすべてのものたちのために、洋子はいつまでも、いつまでも踊り続けるのでした。


                       第2部たたかい 完



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