蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

西暦2011年水無月 蝶人狂歌三昧

♪ある晴れた日に  第93回



鶯や全山アリアに聴き惚れて

三匹の火垂る輪舞し皐月尽

天に星地に蛍舞う良夜かな

一匹の蛍が統べている私の暗闇

二人して蛍見に行くうれしさよ

別々の葉っぱで眠る紋白蝶

大ニッポン疲弊して咲く栗の花

山笑う岩波文庫を読まぬ莫迦

柑橘を生らして捨てる大農家

梅の実を残して流れる小川かな

おらっちはおらっちはおらっちはおらっち

書斎に飛び込んできたダイミョウセセリと一夜を明かした

なんやかやで私もニッポンも疲れ切っているよ

おお君はカワラナデシコの花のように可愛いい

購入限定弐拾四名様痲論一個五百八拾円也為義母

雀百まで僕、僕、僕、てめえに自信があっていですねえ

紫陽花の花のごとうつろうよニッポンおよびニッポン人の心

風呂に入りながらそのまま眠る極楽往生

世の中にお混ぜご飯のお焦げほどおいしいものはなし

世の中に混ぜご飯ほど美味しいものなし三合を三人で食べる

そうかそれでも生きていくのがひとのみちなのか

誰誰がどういう料簡で海岸にどんどん原発おっ建てたんだ

あれほどの被害を蒙ったのにどうして原発を止めたくないのかまるで理解できない

どうしてあんなに総理大臣になりたがるのかまるで理解できない

あんたは人の話を全然聞かないからきっと政治家になれるだろうよ

君の言うことを信じるべきか否かその大きな耳袋を見ながら考えているわたし

たった3千円のゴミ箱を買うのに1週間も迷うソットサスの弟子ミケーレ・デ・ルッキが好きだ

ルリシジミよテングチョウよどうして君たちは示し合わせて同じ日に生まれるのかね

「幸せになろうよ」最終回を見た長男が「僕も幸せになります」と叫んだ幸せになっておくれ



20余匹のオタマを全部喰い殺し1匹の巨大オタマ生き残れり 蝶人