蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

梟が鳴く森で 第3部さすらい 第5回


bowyow megalomania theater vol.1

僕たちは、そのようにして、ひもじくなったら町にたくはつに出、1日に1食か2食の粗末な食事に耐えながら、家族にも会わず、施設にも戻らず、いっさいの世間というものから離れた生活を営んでいました。

3人の家族たちは警察に捜索願を出していたはずですし、その警察ではもちろん警官殺しの殺人犯として全国に指名手配をしていたはずですが、あの大事件のあった不思議なお家からそれほど遠くない山野に潜んでいたにもかかわらず、僕たちは奇跡的に捜査の網から逃れていたことになります。

しかしそんな傍目には平穏無事と思われた3人のかくれ家での生活も、ある日のこと米とぎを頼みに行った例の老婆の家に先客があり、それが聞き込みに訪れた数名のおまわりであることが分かったので、僕たちは、とうとう幼い時から慣れむつんで育ったこの町を離れざるを得なくなってしまいました。


こんなことしでかしてしまってあんたどうするんよ 蝶人