蝶人戯画録

毎日お届けする文芸、映画、エッセイ、詩歌の花束です。

ダグラス・サーク監督の「愛する時と死する時」を観て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.142

「凱旋門」「西部戦線異状なし」で知られるラマルクの同名の原作をダグラス・サークが演出してなかなか見ごたえのある戦争映画に仕立て上げました。
時は1944年の独ソ戦。ロシアとの死闘を繰り広げるドイツ軍兵士の愛と死の3週間をじっくりと描いて、戦争の悲惨さと人間の愚かさと悲しさをひしひしと訴えることに成功できたのは、やはり原作の素材が映画に適していたからでしょう。前記の2つの映画もよく出来ていました。
しかも作者本人もこの映画の重要人物に扮してゲシュタポ役の懐かしやクラウス・キンスキーとともに錦上に隠花植物を添えています。
しかしポスト・ロックハドソンとして売り出しを図った主人公のジョン・ギャヴィンは真面目だがいまいち魅力に欠けるキャラクターで、映画人としては成功しなかったようですが、同じ映画仲間のレーガン元大統領に指名されて駐メキシコ大使になったとさ。
めでたし、めでたし。

横須賀で長崎チャンポン食べました 蝶人